タクシー運転手は80代でも働ける?年齢制限と個人タクシー事情

タクシー運転手は80代でも働ける?年齢制限と個人タクシー事情

タクシー運転手は何歳まで働けるのか、特に80代でも活躍できるのか気になっている方も多いのではないでしょうか。

結論からいうと、80代で働ける可能性があるのは主に法人タクシーです。個人タクシーは、過疎地等の区域で年齢上限が引き上げられたものの、80歳を迎える前までが上限とされています。

年齢を理由に転職や就労の選択肢を諦める前に、法人タクシーと個人タクシーそれぞれの年齢制限の実態を正しく理解しておきましょう。

この記事では、タクシー運転手の年齢制限の基本から、個人タクシーの年齢上限引き上げの内容、80代の運転手に求められる健康管理、そして働き続けるための準備まで解説します。

この記事を読んでわかること
  • 法人・個人タクシーそれぞれの年齢制限の実態
  • 個人タクシーの年齢上限引き上げの内容と、その適用条件
  • 80代で働くために求められる健康管理と、働き続けるための準備

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目次

1.タクシー運転手に「80代」でもなれる?年齢制限の基本

タクシー運転手という職業そのものに、法律で一律に定められた年齢の上限はありません。

ただし、法人タクシーと個人タクシーでは、実質的な年齢の目安や制度上の仕組みが異なります。まずはそれぞれの基本を確認しましょう。

法人タクシーの定年と継続雇用の実態

法人タクシー会社では、一般的に60歳から65歳前後を定年としている会社が多いといわれています。

ただし、定年後の継続雇用制度を導入している会社もあり、定年を超えても働き続けられる場合があります。

継続雇用の上限年齢は会社ごとに異なり、上限を特に設けていない会社もあれば、一定の年齢を目安としている会社もあります。

人手不足の地域などでは、健康状態に問題がなければ高齢になっても勤務を続けられる場合もあります。

ただし、これは会社の方針や地域の事情によるものであり、すべての法人タクシー会社で同様の運用がされているわけではない点にご留意ください。

個人タクシーの年齢制限の基本(開業・更新の仕組み)

個人タクシーは個人事業主として営業するため、雇用契約における「定年」という考え方はありません。

ただし、営業許可の取得・更新には年齢に関する要件が設けられています。

基本的な仕組みでは、新規の許可申請ができるのは申請時に65歳未満の方で、許可の更新は75歳の誕生日を迎える前までとされています。

つまり、75歳が個人タクシーとして営業できる実質的な上限となっていたのです。

何歳まで働けるかは勤務先の制度や働き方によって異なるため、自分の年齢でどのような選択肢があるのか早めに把握しておくと安心です。

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2.個人タクシーの年齢上限は過疎地等に限り「80歳」へ

近年、個人タクシーの年齢上限をめぐって、制度の見直しが行われました。

ここでは、年齢上限引き上げの内容と、その適用範囲について確認しておきましょう。

2023年に示された年齢上限引き上げの方針

2023年9月、国土交通省は、過疎地などで新たに個人タクシーの営業を認め、運転手の年齢上限を80歳とする方針を示し、関連通達の改正案を公表しました。

それまで個人タクシーの営業は、人口おおむね30万人以上の都市を含む地域に限られ、年齢は原則75歳までとされていました。

この見直しは、公共交通が不便な地域で移動手段を確保することが目的とされており、都市部で経験を積んだ運転手のUターンやIターンが想定されています。

この方針は、現在では各地方運輸局が定める個人タクシーの審査基準に反映されています。

参考:一転、80歳個人タクシー運転手容認へ|東京新聞デジタル(2023年10月4日)

引き上げは「過疎地等」に限定された措置

80歳までの営業が認められるのは、人口おおむね30万人以上の都市を含まない区域のうち、地方運輸局が定める条件を満たした区域に限られます。

都市部を含めて、全国一律に上限が引き上げられたわけではありません。

また、この区域で営業するには、1年以上の個人タクシー経験が必要です。

申請時に75歳以上の場合は、県内の法人タクシー事業者(連携事業者)から運行管理を受ける体制を整えることも要件とされています。

人口の多い都市部で個人タクシーを新たに始める場合は、従来どおり、申請時に65歳未満であることが要件です。

80歳枠でも「80代での営業」は想定されていない

改正後の具体的な審査基準は、地方運輸局ごとに公示されています。

たとえば中部運輸局の基準では、人口おおむね30万人以上の都市を含まない営業区域について、申請時の年齢を80歳未満としています。

一方で、満80歳の誕生日以降の期限を付す更新は行わないとしています。つまり、80歳枠で許可を受けた場合でも、80歳を迎える前に許可期限が来るため、80代で個人タクシーとして営業を続けることは制度上想定されていません。

なお、同基準では、2002年1月31日以前に許可を受けた事業者には更新時の年齢条件を適用しないとしています。現在80代で営業している個人タクシーの運転手がいるのは、こうした経過的な扱いによるものです。

対象区域や細かな条件は地域によって異なる場合があるため、個人タクシーとしての営業を検討する場合は、営業を希望する地域の運輸支局等で最新の制度内容を確認しておくことをおすすめします。

参考:個人タクシー事業の申請に対する審査基準について|国土交通省 中部運輸局

3.法人タクシーで80代まで働き続けるには

ここまで見てきたとおり、80代で働ける可能性があるのは主に法人タクシーです。ただし、定年や継続雇用の上限年齢は会社によって異なります。

80代まで働き続けられるかどうかは、勤務先の制度と本人の健康状態次第という面があるため、会社選びの段階での確認が欠かせません。

会社によって異なる継続雇用の運用

継続雇用の上限年齢を就業規則などで明確に定めている会社もあれば、年齢だけでなく健康状態や勤務状況をふまえて個別に判断している会社もあります。

会社の規模や知名度だけで判断せず、応募先ごとに継続雇用の条件を個別に確認するようにしましょう。

応募前に確認しておきたいポイント

80代まで働き続けたいと考える場合は、定年後の継続雇用制度の有無や上限年齢、健康状態に応じた働き方の選択肢について、応募先に具体的に確認しておきましょう。

たとえば、上限年齢に達した後の雇用の扱いや、短時間勤務・時間帯を限定した勤務が選べるかどうかなどは、長く働くうえで押さえておきたい点です。

求人票に記載がない場合でも、面接や問い合わせの段階で確認しておくと、入社後のミスマッチを防ぎやすくなります。

ただし、継続雇用の実際の運用や職場の雰囲気は、求人票や面接だけではつかみきれないこともあります。

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4.80代の運転手に求められる健康管理・安全対策

タクシー運転手はお客様の命を預かる仕事であるため、年齢に関わらず、安全運転を続けるための健康管理が重視されています。

特に高齢の運転手には、より丁寧な健康チェックの体制が求められます。

定期健康診断と適性診断

タクシー会社などの事業者には、労働安全衛生法令に基づき、雇用する運転手に原則として1年以内ごとに1回の健康診断を実施することが義務付けられています。深夜業務を常態として行う運転手の場合は、6か月以内ごとに1回です。

参考:定期健康診断・特定業務従事者健康診断|岡山産業保健総合支援センター(独立行政法人労働者健康安全機構)

また、65歳以上の運転手には、高齢運転者向けの適性診断(適齢診断)の受診が義務付けられています。

法人タクシーの場合、65歳に達してから1年以内に1回、その後75歳までは3年以内ごとに1回、75歳以降は毎年1回の受診が必要です。

個人タクシーの場合は、許可の期限更新時に65歳以上であれば、更新申請の前に受診します。診断結果は、運転指導などに活かされます。

参考:事業用自動車の安全対策(運転者に対する指導及び監督)|国土交通省、適齢診断|独立行政法人自動車事故対策機構(ナスバ)

75歳以上の認知機能検査・高齢者講習

道路交通法により、70歳以上の運転者は運転免許の更新時に高齢者講習を、75歳以上の運転者はこれに加えて認知機能検査を受けることが義務付けられています。

また、75歳以上で過去3年間に一定の違反歴がある場合は、運転技能検査の受検も必要です。

認知機能検査の結果によっては、臨時適性検査の受検や医師の診断書の提出が必要になる場合があります。

講習や検査は予約制で、予約が取りにくい地域もあるため、免許の更新時期を把握し、余裕を持って準備しておきましょう。

参考:高齢者(70歳以上)の方の講習や検査について|高知県警察、臨時認知機能検査と臨時高齢者講習(75歳以上の方)|警視庁

会社独自の健康チェックを前向きに活用する

タクシー会社の中には、こうした公的な制度に加えて、独自の健康チェックやトレーニングを取り入れているところもあります。

乗務前の点呼で体調を確認する仕組みなども、安全運転を支える取り組みの一つです。

年齢を重ねてからタクシー運転手として働き続けるためには、こうした健康管理の仕組みを「負担」と捉えるのではなく、自分の状態を知り、安全に働き続けるための機会として活用する姿勢が求められます。

5.高齢の運転手をめぐる社会的な議論について

タクシー業界における高齢の運転手の増加については、社会的にさまざまな意見があります。

ここでは、主な二つの見方と、就労を考えるうえで意識しておきたい姿勢を整理します。

地域の交通手段を支える存在という見方

人手不足が深刻な地域において、経験豊富な高齢の運転手は、地域の交通手段を支える貴重な存在であるという見方があります。

長年の乗務で培った地理の知識や接客経験は、年齢を重ねた運転手の強みともいえます。

また、高齢者の就労機会の確保という観点からも、年齢だけを理由に働く場を狭めるべきではないという考え方があります。

安全性の確保を重視する見方

一方で、加齢に伴う身体機能の変化から、高齢の運転手による運転の安全性を懸念する指摘もあります。

乗客を乗せて走る以上、安全性の確保は欠かせない視点です。

どちらか一方の意見が絶対的に正しいというものではなく、安全性の確保と、地域の交通手段・雇用機会の維持という両方の観点から議論が続けられているテーマだといえます。

就労を考える際は、こうした議論の存在を踏まえ、自分の健康状態を客観的に把握し、企業の健康管理・安全対策の制度を積極的に活用する姿勢が求められます。

6.80代から働く・働き続けるための準備

80代でタクシー運転手として新たに働き始める、あるいは働き続けることを考える場合、事前の準備が欠かせません。

ここでは、確認しておきたいポイントを整理します。

健康状態と応募先の条件を確認する

まずは、自分の健康状態と応募先の条件を具体的に把握しておきましょう。

  • 直近の健康診断の結果を確認し、視力・聴力・持病の有無など、就労に影響しうる項目を把握しておく
  • 応募を検討している会社に、継続雇用の上限年齢や、高齢者向けの勤務形態(短時間勤務・時間帯限定等)があるかを具体的に確認する

健康面と勤務条件の両方を事前に確認しておくことで、無理のない形で働き始めやすくなります。

地域の制度と無理のない働き方を検討する

あわせて、営業を希望する地域の制度や、自分に合った働き方についても検討しておきましょう。

  • 80歳を迎える前に個人タクシーとしての営業を検討する場合は、営業を希望する地域の運輸支局等で、年齢要件の最新の適用状況を確認する
  • 体力面に不安がある場合は、隔日勤務ではなく、短時間勤務や特定の時間帯に絞った勤務など、無理のない働き方を選択肢として検討する

年齢を重ねてからの就労では、収入面だけでなく、無理なく安全に働き続けられる環境かどうかを基準に会社を選ぶと、長く働き続けやすくなります。

とはいえ、高齢者向けの勤務形態がある会社を一人で探すのは簡単ではありません。

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7.まとめ:80代で働くなら法人タクシーが中心

タクシー運転手という職業そのものに法律上の年齢上限はなく、年齢を理由に一律に選択肢が閉ざされる仕事ではありません。

法人タクシーでは、会社ごとの継続雇用制度と本人の健康状態しだいで、80代まで働き続けられる可能性があります。

一方、個人タクシーは、国が指定する過疎地等の区域に限って年齢上限が80歳に引き上げられたものの、80歳を迎える前までが上限です。80代で新たに働く道は、実質的に法人タクシーが中心となります。

高齢の運転手の安全性をめぐる社会的な議論がある点も踏まえ、正確な情報にもとづいて自分に合った働き方を選びましょう。

応募を検討する際は、健康管理の体制や継続雇用の条件を具体的に確認しながら、無理のない形で長く活躍できる道を探ってみてください。

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