車検を依頼しようとしたときに「認証工場」「指定工場」という表示を見て、何が違うのかわからず迷った経験はないでしょうか。
どちらも国の認証を受けた整備工場ですが、車検の進め方には違いがあります。

この記事では、認証工場と指定工場の違いを国土交通省の定義をもとにわかりやすく整理し、車検を依頼する際の選び方も紹介します。
- 認証工場・指定工場それぞれの定義と違い
- 車検を依頼する際の選び方の目安
- 運送業界で働くうえで知っておきたい整備体制の基礎知識
1.認証工場・指定工場とは?基本的な違い
自動車整備工場には、「認証工場」と「指定工場」の2種類があります。
どちらも地方運輸局長から認められた正式な整備工場ですが、指定工場は認証工場のうち、さらに多くの要件を満たした工場です。
最も大きな違いは、工場内で車検の検査まで行えるかどうかにあります。ここでは、国土交通省の定義をもとに、それぞれの工場の位置づけを確認していきましょう。
認証工場の定義
エンジンやブレーキなどを取り外して行う「分解整備」や、自動ブレーキに使われるカメラ・レーダーの調整などの「電子制御装置整備」は、あわせて「特定整備」と呼ばれます。
特定整備を行う事業者は、道路運送車両法にもとづき地方運輸局長の認証を受けなければなりません。
認証工場とは、一定の規模の作業場と作業機械、特定整備に従事する従業員を有する工場として、この認証を受けた工場のことです。
認証工場には車検の検査設備がないため、車検を依頼された場合は、認証工場が運輸支局や自動車検査登録事務所などに車両を持ち込んで検査を受けます。
参考:国土交通省「自動車整備工場には認証工場と指定工場があります。その違いは?」、国土交通省「自動車特定整備事業について」
指定工場の定義
指定工場は、認証工場のうち、整備に関する一定の基準に適合する設備・技術・管理組織を有するほか、自動車の検査設備を持ち、「自動車検査員」を選任している工場として、地方運輸局長の指定を受けた工場です。
一般には「民間車検場」「民間車検工場」とも呼ばれます。
指定工場に車検を依頼した場合、点検整備のあとに自動車検査員が検査を行い、保安基準に適合していることを証明する「保安基準適合証」が交付されます。
この適合証を運輸支局等に提出することで、車両の持ち込みを省略できます。なお、認証工場・指定工場ともに、所定の標識を見やすい場所に掲げています。
参考:国土交通省「自動車整備工場には認証工場と指定工場があります。その違いは?」
2.認証工場の特徴とメリット
認証工場は、特定整備を含む幅広い整備・修理に対応できる工場です。
車検の検査設備は持たないものの、日常的な点検整備や部品交換、修理などを依頼する先として、身近な存在といえます。
車検を依頼する場合は、認証工場が点検整備を行ったうえで、車両を運輸支局等に持ち込んで検査を受けます。
依頼する側が自分で運輸支局へ出向く必要はありませんが、検査場への持ち込みが必要になるぶん、指定工場に比べて車検の完了までに時間がかかる場合があります。
なお、指定工場の数は認証工場全体の一部にとどまるため、身近にある整備工場の多くは認証工場です(詳しくは次のセクションで紹介します)。
3.指定工場の特徴とメリット
指定工場は、点検整備から検査までを工場内で完結できる点が大きなメリットです。
車両を運輸支局等に持ち込む必要がないため、一般的には車検にかかる手間や時間を抑えやすいとされています。
指定を受けるには、検査設備や自動車検査員の選任など、認証工場よりも多くの要件を満たす必要があります。
日本自動車整備振興会連合会の資料によると、令和7年6月30日時点の認証工場は92,251事業場で、そのうち指定工場は29,810事業場と、全体の約3割にとどまっています。
指定工場数は3年連続で減少しています。
整備工場の数や体制は地域や会社によって異なり、ドライバーとして働く職場を選ぶときも、車両がどのように管理されているかは求人票だけではなかなか見えてきません。
転職を迷ったとき、ドライバー専門の転職エージェントに相談してみましょう。
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参考:日本自動車整備振興会連合会「令和7年度 自動車特定整備業実態調査結果の概要」
4.車検を依頼する際の選び方
認証工場と指定工場は、どちらが一律に優れているというものではなく、それぞれ特徴が異なります。
車検にかかる時間を短縮したい場合は、工場内で検査まで完結できる指定工場が選ばれやすい傾向があります。
一方、特定整備を含む点検や修理は、認証工場でも指定工場でも同じように依頼できます。
依頼先を検討する際は、工場に掲げられた標識で認証工場・指定工場のどちらかを確認したうえで、対応可能な整備の範囲や、車検にかかる期間・費用、店舗の対応実績などを比べてみましょう。
自分の状況に合った工場を選ぶことが大切です。
5.運送・物流業界で働くなら知っておきたい車両整備の基礎知識
トラックドライバーなど運送・物流業界で働く場合、勤務先の会社がどのような体制で車両整備を行っているかは、日々の業務にも関わる基礎知識です。
自社に整備部門を持ち、認証工場・指定工場として自社の車両を整備している運送会社もあれば、外部の整備工場と提携して車両管理を行う会社もあります。
日本自動車整備振興会連合会の資料では、令和7年6月30日時点で、主に自社で保有する車両の整備を行う「自家」の整備事業場は3,474事業場とされています(運送会社以外の事業者も含む数です)。
就職・転職活動の際に、車両整備の体制や点検頻度について確認しておくと、入社後の車両管理のイメージがつかみやすくなります。
日常点検の分担や、整備不良に対する会社の対応方針なども、あわせて確認しておくとよいでしょう。
とはいえ、整備体制や日常点検の分担、整備不良への対応方針まで、面接で自分から細かく質問するのはハードルが高いと感じる方も多いでしょう。
参考:日本自動車整備振興会連合会「令和7年度 自動車特定整備業実態調査結果の概要」
6.よくある質問
ここでは、認証工場と指定工場について調べている方が抱きやすい疑問について、国土交通省の定義をもとに回答します。
- 認証工場は違法ですか?
-
認証工場は、道路運送車両法にもとづき地方運輸局長の認証を受けた正式な整備事業者であり、違法な存在ではありません。
車検の検査設備を持たない点が指定工場との違いですが、認証を受けて特定整備を行うこと自体は適法な事業形態です。
- 車検は指定工場の方が厳しいですか?
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指定工場は、検査設備や自動車検査員の選任など、認証工場よりも多くの要件を満たした工場で、検査までを工場内で行える点が特徴です。
ただし、どちらに依頼しても保安基準に適合しているかが確認される点は同じです。
検査の厳しさの違いというよりも、対応できる業務範囲や手続きの違いとして捉えるとよいでしょう。
7.認証工場と指定工場は依頼内容に合わせて選ぼう
認証工場と指定工場は、いずれも国の認証・指定を受けた正式な整備工場ですが、指定工場は検査設備を有し、工場内で車検まで完結できる点が大きな違いです。
どちらが優れているというものではなく、依頼したい内容や車検にかけられる期間に応じて選ぶことが大切です。
運送業界で働く場合には、車両整備の体制が日々の業務にも関わってくるため、こうした基礎知識として押さえておくと役立つでしょう。
整備工場を依頼内容で選ぶのと同じように、転職先も給与や勤務時間だけでなく車両管理への姿勢まで含めて比べると、長く安心して働ける職場に出会いやすくなります。
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