運送業界の求人や仕事内容を調べていると、「配車」と「運行管理」という似た言葉が出てきて、違いが分かりにくいと感じたことはないでしょうか。
どちらも運送会社の運行を支える重要な仕事ですが、配車は「輸配送を車両とドライバーに効率よく割り当てること」、運行管理は「法律に基づいて運行の安全を確保すること」と、目的に明確な違いがあります。

この記事では、配車と運行管理の違いから、配車係の仕事内容、「きつい」といわれる理由、向いている人や必要な資格、そしてドライバー経験を活かしたキャリアの選び方まで解説します。
- 配車と運行管理の違い
- 配車係の仕事内容と向いている人
- ドライバー経験を活かしたキャリアの選び方
1.配車と運行管理の違いとは
配車と運行管理は、どちらも運送会社の運行を支える業務ですが、目的や法的な位置づけが異なります。
ここでは、それぞれの業務の定義と、両者の関係について整理します。
配車業務とは:輸配送を車両とドライバーに割り当てる仕事
配車業務とは、荷主から請け負った輸配送業務を、車両やドライバーに割り当てる業務のことです。
どの荷物を、どの車両・どのドライバーで、どのルートで運ぶかを決めることが中心になります。
配車の組み方によって、車両の稼働率や燃料費、ドライバーの負担が変わるため、会社の収益に直結する業務といえます。
運行管理とは:法律に基づき運行の安全を確保する仕事
運行管理は、貨物自動車運送事業法に基づく国家資格(運行管理者資格者証)を持つ運行管理者が担う業務で、車両の安全な運行を管理することを目的としています。
運行管理者は営業所ごとに選任が義務付けられており、事業用自動車が29両以下の営業所では1人以上の選任が必要です(一定の条件を満たす5両未満の営業所を除く)。
30両以上の営業所では30両ごとに1人ずつ必要人数が増える仕組みで、具体的な人数は貨物自動車運送事業輸送安全規則で定められています。運送会社にとって欠かせない存在です。
運行管理者が担う主な業務
運行管理者の業務は、貨物自動車運送事業輸送安全規則で定められています。主な業務には次のようなものがあります。
- 国が定める勤務時間・乗務時間の基準に沿った乗務割の作成
- 運転者への点呼(酒気帯びや健康状態の確認、安全運行に必要な指示など)
- 長距離運行などでの運行指示書の作成と指示
- 運転者に対する指導・監督や、事故の記録
このうち乗務割の作成は、配車係が組む配車計画と内容が重なる部分です。配車と運行管理が密接に関わる業務といわれるのは、こうした重なりがあるためです。
小規模事業者では両方を兼務する場合もある
配車業務と運行管理業務は密接に関連しているため、人手不足が深刻な小規模事業者では、運行管理者が配車係を兼務する場合があります。
配車計画を立てる際にはドライバーの労働時間や休息を考慮する必要があり、運行管理の知識がそのまま活かせるためです。
ただし、配車は「効率」、運行管理は「安全」と目的が異なるため、兼務する場合でも役割ごとの意識を持つことが求められます。
出典:貨物自動車運送事業法|e-Gov法令検索、貨物自動車運送事業輸送安全規則の解釈及び運用について|国土交通省、運行管理者の仕事(トラック編)|国土交通省 近畿運輸局
2.配車係の仕事内容
配車係の業務は、配車計画の作成だけにとどまりません。荷主対応からドライバーへの指示、書類の整理まで幅広く担います。
ここでは、配車係の主な仕事内容を3つに分けて紹介します。
荷主とのやり取りと配車計画の作成
配車係の業務は、荷主からの依頼・変更・問い合わせの受付から始まります。
受け付けた内容をもとに、どのドライバーにどの荷物を、どのルートで運んでもらうかを決める配車計画を作成します。
配送先の時間指定や車両の積載能力など複雑な条件を踏まえながら、効率的な配車を組んでいく必要があります。
ドライバーへの指示出しと運行状況の確認
配車計画が決まったら、ドライバーへ業務内容の指示を出します。集荷・配送の時間や場所、注意事項などを正確に伝えることが、スムーズな運行につながります。
運行が始まった後は、進捗状況を確認し、遅延や渋滞などが発生した場合には、荷主への連絡や配車の組み直しといった対応を行います。
運行中も状況に目を配り続けることが、配車係の大切な役割です。
運転日報・伝票の整理と労働時間への配慮
運行終了後は、運転日報や伝票類を整理し、実績を記録します。
また、配車計画を立てる際にはドライバーの労働時間にも配慮が必要です。
2024年4月からはトラック運転者の改正後の改善基準告示が適用され、1日の拘束時間は原則13時間以内、1年の拘束時間は原則3,300時間以内とされています。
こうしたルールを守りながら計画を組むことも、配車係に求められる視点です。
担当する荷主の業種や車両台数、事務作業の範囲など、配車係の具体的な仕事内容は会社ごとに異なります。求人を選ぶ際は、条件面だけでなく業務の中身まで確認しておきましょう。
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出典:トラック運転者の改善基準告示 ー2024年4月適用ー 解説|国土交通省 近畿運輸局
3.配車係は「きつい」といわれる理由
配車係についてインターネットで調べると、「きつい」「辛い」「辞めたい」といった言葉が検索候補に表示されることがあります。
ここでは、その背景にあると考えられる業務上の負荷と、配車係ならではのやりがいを紹介します。
複数の関係者との間で板挟みになりやすい
配車係は、荷主・ドライバー・経営者など、立場の異なる複数の関係者と日常的にやり取りをします。
荷主からは急な依頼や時間指定の変更を、ドライバーからは無理のない運行を、経営者からは効率や収益性を求められます。このように、それぞれの要望が食い違う場面も少なくありません。
こうした調整役を担うことが、精神的な負担につながりやすいとされています。
責任の大きさとイレギュラー対応
配車係の業務は、会社の売上や利益に直結するため、責任やプレッシャーが大きい仕事です。
配車の組み方ひとつで、車両の空き時間や燃料費、納期の遵守状況が変わります。
さらに、天候の悪化や交通事故による渋滞、車両トラブルなど、予定どおりに進まない事態への対応も求められます。
急な状況変化にその場で判断を下す必要があるため、負担が大きいといわれています。
経験が必要で業務が属人化しやすい
配車計画の作成には、道路事情や荷主ごとの特性、ドライバーの得意分野など、長年の経験やノウハウが必要になる傾向があります。
そのため、特定の担当者しか配車を組めない「属人化」が起こりやすく、担当者に業務が集中しやすい点も負担の一因とされています。
休暇が取りにくくなる場合もあるため、配車システムの導入などで業務を標準化する会社もあります。
配車係ならではのやりがい
その一方で、配車係には相応のやりがいもあります。
効率的な配車を組めたときの達成感や、荷主から直接感謝の言葉をもらえる場面は、配車係ならではの魅力です。
また、会社全体の運行を把握する立場であるため、経験を積むことで幹部への昇進につながる可能性もあります。
「きつい」という側面だけでなく、こうしたやりがいも含めて判断するのがおすすめです。
配車システムの導入状況や配車担当の人数によって「きつさ」の度合いは大きく変わるため、応募先で実際にどのような働き方をしているのかを事前に把握しておくと安心です。
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4.配車係に向いている人・必要な資格
配車係を目指すにあたって、資格の有無や自分との適性が気になるところです。
ここでは、配車係に必要な資格の考え方と、向いている人の特徴について解説します。
配車係に特別な資格は必要ない
一般的に、配車係になるために特別な資格は必要ありません。学歴や資格よりも、実務を通じて身につける経験やノウハウが重視される傾向があります。
ただし、ドライバーの労働時間管理や運行の安全に関する知識は配車業務にも役立つため、運行管理者の知識があると業務の幅が広がります。
小規模な事業者では、運行管理者と配車係を兼務する場合もあるため、将来的に資格取得を視野に入れておくのもよいでしょう。
配車係に向いている人の特徴
配車係に向いている人の特徴としては、次のような点が挙げられます。
- 荷主やドライバーなど、複数の関係者と円滑にコミュニケーションを取れる人
- 複雑な条件を整理し、効率的な計画を立てる論理的思考が得意な人
- イレギュラーな事態にも冷静に対応できる判断力のある人
- ドライバーとしての実務経験があり、車両特性や現場の事情を理解している人
いずれも、調整役として現場と会社をつなぐ配車係の業務に直結する資質です。
ドライバー経験が強みになる理由
配車係には、元ドライバーが起用される場合があります。土地勘や道路事情、ドライバーの働き方への理解があることは、配車係として大きな強みになるためです。
たとえば、特定のルートで渋滞が発生しやすい時間帯や、荷下ろしに時間がかかる配送先を把握していれば、より現実的な配車計画を立てやすくなります。
現場の負担を理解した配車は、ドライバーとの信頼関係づくりにもつながります。
5.未経験・ドライバー経験者が配車係を目指すには
配車係は資格が不要なため、未経験からでも挑戦しやすい仕事です。
ここでは、未経験者がスキルを身につける流れと、ドライバー経験者が転身を考える際に確認しておきたい点を紹介します。
未経験からは実務を通じてスキルを習得する
資格が不要な一方で、複雑な条件を踏まえた配車計画の立案には経験が求められます。
一般的には、先輩社員のもとで配車の補助や電話対応などを担当しながら、実務を通じて知識やノウハウを身につけていく形になります。
まずは荷主やドライバーとのやり取りに慣れ、少しずつ担当範囲を広げていくのが基本的な流れです。
ドライバー経験者が転身前に確認しておきたいこと
ドライバー経験が配車業務で活きる点は、前章で紹介したとおりです。実際に転身を考える場合は、次のような点を確認しておくと、入社後のギャップを減らせます。
- 現在の勤務先に配車係のポジションや社内異動の制度があるか
- 転職先の配車係が、電話対応や事務作業、運行管理業務の補助などをどこまで担当するか
- 配車システムの導入状況や、配車担当の人数
- 運行管理者資格の取得を支援する制度(基礎講習の受講費用補助など)があるか
6.配車係と運行管理者、どちらを目指すべきか
配車係と運行管理者は、どちらも運送業界で運行を支える重要な仕事ですが、目指しやすさや必要な準備には違いがあります。
ここでは、両者の違いを比較したうえで、目的に応じた選び方を解説します。
配車係と運行管理者の比較
配車係と運行管理者の主な違いを表にまとめると、次のとおりです。
| 配車係 | 運行管理者 | |
|---|---|---|
| 資格 | 不要 | 国家資格(運行管理者資格者証)が必要 |
| 主な役割 | 最適な配車計画の作成 | 運行の安全確保・労務管理 |
| 未経験からの就きやすさ | 比較的高い(実務を通じて習得) | 資格取得が前提となるため準備期間が必要 |
配車係はすぐに実務に入りやすい一方、運行管理者は資格取得までの準備が必要な分、専門性の高い仕事といえます。
運行管理者資格の受験資格
運行管理者になるには、公益財団法人運行管理者試験センターが実施する運行管理者試験に合格するのが一般的です。
受験資格は、「運行管理に関する1年以上の実務経験」または「国土交通大臣が認定する講習実施機関での基礎講習の修了(指定の期日までの修了予定を含む)」のいずれかです。
対象となるのは運行管理の実務経験であるため、ドライバー経験のみの場合は、基礎講習を受講して受験資格を得る方法が考えられます。
目的に応じたキャリアの選び方
「まずは実務経験を積みながら運送業界のことを知りたい」という場合は配車係から、「資格を取得して専門性を高めたい」という場合は運行管理者を目指すという考え方もできます。
どちらも密接に関わる仕事のため、配車係としての経験を積んだ後に運行管理者資格の取得を目指すというキャリアパスも考えられます。
その中間段階として、運行管理者の業務を補助する「補助者」があります。補助者は、運行管理者資格者証を持つ人か、国土交通大臣が認定する基礎講習を修了した人の中から選任されます。点呼の一部などを運行管理者の指示のもとで担うため、配車係から基礎講習を受けて補助者となり、実務経験を重ねながら資格取得を目指すという進み方もあります。
自分の強みや将来像に合わせて、無理のない道筋を選んでみてください。
配車係から始めるのか、運行管理者の資格取得を目指すのか、迷う方もいるでしょう。資格取得を支援してくれる会社を選ぶという考え方もあり、キャリアの方向性はひとりでは決めきれないこともあります。
転職を迷ったとき、ドライバー専門の転職エージェントに相談してみましょう。
ドライバー業界の慣習や企業の実態に詳しい専任のエージェントが、あなたの転職活動をサポートします。
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出典:新規受験概要|受験概要|公益財団法人 運行管理者試験センター、運行管理者の仕事(トラック編)|国土交通省 近畿運輸局
7.配車と運行管理の違いを知って自分に合ったキャリアを選ぼう
配車と運行管理は、どちらも運送会社の運行を支える仕事ですが、配車係は「最適な配車計画の作成」、運行管理者は「運行の安全確保」と目的が異なります。
運行管理者には国家資格が必要な一方、配車係は資格不要で未経験からでも挑戦しやすく、ドライバー経験を活かせる選択肢のひとつです。

「きつい」といわれる側面だけでなく、やりがいやキャリアアップの可能性も踏まえたうえで、自分に合った方向性を検討してみてください。
